Xデー

会社で仮眠を取った。約2時間だ。
今日の午後3時で、1度目の不渡りが確定する。同時に、営業を引き継ぐ旨の説明文書を一斉FAXだ。事前準備に追われる。
12時。準備完了。15時を待つのみ。連絡先リストを数名で手分けし、待機する。もうすでに、一部の取引先からは問い合わせの連絡が入る。前日に払い出した小切手が未入金(現金化されない)の為だ。うわさが流れ始める。電話の着信の度に、ドキっとする。
15時。2台のパソコンから事前登録したFAXへ自動送信開始。それと同時に、手分けした取引先へ事態の説明の電話を入れる。
16時。ぞくぞくと債権者が押し寄せる。ヤスまがいな連中も多数...。「てめぇらの小遣いから1万でも出すのが筋だろ?えぇ!?」「社長出せ、ごらぁ!あ”っ?いねぇのか?逃げたのかぁ?」「都合悪くなると逃げ出すんだべ?んだいなぁ。つぶれる会社ってのはそんなもんだぁ。で?どーしてくれんのよ?兄ちゃんなんとかしてくれるんか?」
もう、ひたすら頭を下げるしかなかった。人生でこれほど矛盾を感じながらも何もできないと思った日はなかった。
そんな、暴言を吐きまくる連中とは対照的に、「○○さん、寝てないんでしょ?見ればわかりますよ。大変だったべ?もう済んだ事、これからお互いがんばりましょうよ。」涙がこぼれそうで、向かい合って話ができなかった。
こういう事態にいったいどれだけのひとが遭遇するのかわからない。だけど、会社倒産という事態は人の会社の裏表がハッキリ見えると思った。ドロドロしすぎだ。人間性が包み隠さず見えてくる。心底疲労しまくった。人間ってヤな生き物だと思った。