復元テープ



 報道陣や地元関係機関が火砕流に巻き込まれた雲仙普賢岳の噴火。今年になって、当時のテレビカメラが見つかったということで、ソニーと日テレがテープの復元を試みた。
 先日、ドキュメンタリー番組でやったらしいのだが、あいにく見逃してがっかりしてたんだけど、今日の出来事の特集でも取り扱ってた。
収録されてるスタッフのやりとりなんていうのは、普段ふつーに自分たちがしてる会話。なんつーのかなぁ・・・。報道って、ねぇ。伝えるのが仕事だからねぇ。そんな火砕流に巻き込まれる程の危険に遭遇した事はまだないけどさ。でもなんとなくわかるなぁ。撮らなきゃなんない。危険なのは承知の上で取材に向かってるから、危険慣れしちゃうってのもあるんだろうけど、ヤバイと思っても引き下がれないという独特の空気ってあると思う。
帰還!って判断がさ、その判断基準がないのよ。それって怖いから?自分が大事だから?弱気だから?死にたくないから?そんな、気持ちの問題もある。他社が撮ってないからこそ、今こそ押さえてやる!って仕事根性もある。ましてや、他社が戻らないのに自分だけ戻るなんてできない、っつーのもある。デスクが戻れって言わないからってのもある。戻れって言われても、あとちょっと!って思ってしまうのもある。
とにかく、危険だったとしても、それを撮るのが「仕事」なんだから仕方ないわけ。こまっちゃうよね、正直。でも、戦地に行って犠牲になる人も、こうやって自然災害で犠牲になる人も、実はわかってる。最悪、命取られる可能性があるって、そういう時は認識してたりする。でも、仕事だから断れないし、使命だ!なんて妙な正義感が生まれたりするのも問題だ。
普賢岳の時は、報道陣が加熱取材したが故に、地元の警察や消防も巻き込まれてしまった。当事者だけではなく、その家族があり、仲間がいて、同僚がいる。自分ひとりの問題じゃないんだよね。伝え続けることの使命と義務が報道機関にはある。どこに線を引けばいいんでしょ。永遠の課題だと、思います。
その頃からなんでしょうか。年々、台風をはじめとした自然災害の取材にはかなりシビアになってます。デスクも無理を言ってこないです。各社の中継を見ても、一昔と比べるとかなり安全な場所から中継してます。正直、物足りない感があるけど、きっとそれでいいのかもしれない。物足りないのは視聴者ではなく、当事者だけなのかもしれない。